第17回 大田区町工場の精密加工にスゲイノウ人も釘付け!

東京の大田区には、約3,500の工場があり、「ものづくりのまち」として名を馳せています。
テレビドラマにもなった池井戸潤さんの「下町ロケット」の舞台にもなっているので、なんとなく「ものづくり」のイメージを持っていらっしゃる方も多いのでは?
ただ、ものづくりと言っても大規模なラインで1から10まで作る工場は少なく、主に金属を素材とした「削る」「磨く」「形成する」「メッキする」といった、ひとつの加工を専門に請け負っている工場がほとんどです。
今日はスゲイノウ人森さんが、とある町工場を訪れた時のお話を伺っていきます!

「スゲイノウ人の森って誰よ?」と言う方は、下記の記事もどうぞ!
【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア 】第1回  SEと万年筆との出会い
森さん仕上げのカスタムヘイテイジ92はこちらです。
編集さん
編集S

こんにちは!暑さに鈍感すぎて、逆に暑さにやられる編集のSです。

冬でも汗をかいています!「万年筆仕上げ人」の森です。
編集さん
編集S

命の危機を感じる暑さになってまいりましたね。夏は行動不能と前回おっしゃってましたが、ご機嫌いかがですか?

なんとか生きてます…。そして、町工場の見学に行ってきたので、活動報告させていただきます!
編集さん
編集S

おお!町工場ですか!なんかメチャクチャ暑そうなイメージありますが、大丈夫でしたか?森さん溶けませんでしたか?

ああ、確かにオープンスペースでガンガンやってる工場もありますが、今回僕が伺った「松浦製作所」さんは、しっかり温度がコントロールされていましたから(エアコンバッチリ)、全然オッケーでしたよ。
編集さん
編集S

なるほど、そうでしたか。今回、そちらの工場を見学に行かれた経緯を伺ってもいいですか?

「大田区加工技術展示商談会」という、大田区のものづくりのイベントがありまして、そこで松浦製作所のブースを見つけたんです。
編集さん
編集S

日頃からそういうイベントをチェックされてるんですね。

前にも言ったかもしれませんが、僕の目標のひとつに【カスタムではなく完全に自身が満足ができる万年筆を設計、製作したい】という思いがあります。そのため地元大田区の町工場の情報を収集しているんですよ。
編集さん
編集S

以前のインタビューでスゲイノウ人の野望を語っていましたね!
たくさんの町工場が出展されていたと思いますが、松浦製作所のどんなところに魅力を感じたんでしょうか?

複合的に惹かれるポイントが多かったんですよ。まず、微細加工が得意な点です。わかりやすい画像が松浦さんのサイトにあったので、ちょっとお借りしてきました。
松浦製作所の説明
松浦製作所さんのサイトよりお借りしています
編集さん
編集S

1mm×1mmの平面にオバマさんがクッキリ!米粒よりも小さいですね!

この画像にも書いてありますが、小さいだけでなく、綺麗なモノを作るという点も素晴らしいですね。大田区では、産業用途が多いので、図面通りではあっても美麗さに欠ける場合が多かったりします。
編集さん
編集S

そうか、表にでないパーツは見た目のキレイさがそれほど重要視されないと…。

そういうことです。社長の松浦さんと話して、独立時計師の方と仕事をしたことがあると聞きまして、さらに期待は膨らみました。工芸品などの分野にも興味がある社長さんなんだな〜と。
編集さん
編集S

難しいことはよくわかりませんが、高級な時計って中のパーツとかスケスケですよね!精密な上に、歯車などのパーツ類すべてがピカピカで美しいです。

さらに、量産ではなく、試作品などが得意。あとは、僕の家から近かったことですかね。(地味に大事)
編集さん
編集S

様々な点で、森さんのニーズと合致したんですね。

そうなんです!

編集さん
編集S

実際に行ってお話されてみて、いかがでしたか?

僕みたいな儲からなそうな客の話を、社長をはじめ、社員の方も親身になって聞いてくれました。これも松浦さんが、量産品でなく、試作品を主に手がけてらっしゃるからなんですけどね。

編集さん
編集S

ちょっと質問なんですが、私のイメージだと、ひとつの会社で試作やテストをして、OKになったらそのまま量産に移行するのかと…。

もちろんそういう業界、現場もあるでしょうけど、大田区の町工場では細分化されたひとつの工程を請け負うことが多いので、試作なら試作を専門にやる会社があるんですね。
編集さん
編集S

そうなんですか!

そもそも量産と試作品では、作り方から使う機材まで全然違うんですよ。
量産品は多くの場合、金型と呼ばれる物を製作して、そこに樹脂を圧力で流し込む事で形ある物へと成形されます。プラスチックでできている生活用品の多くがこれですね。万年筆の軸などにも良く使われています。

編集さん
編集S

金型を使うのが、量産!

他にも金型は金属をプレスして成形する用途にも古くから活用されています。金物屋さんで見かける商品には多くのプレスで整形した商品がありあますね。
金型は耐久性などが求められて製作費用は高価ですが量産効果が得られるので結果として1個あたりの価格を下げる事ができます。

編集さん
編集S

1回型を作ってしまえば…ってカンジですね!同じものを作れば作るほど初期投資が回収できる仕組み〜。

一方、試作品は試験や検証が目的です。精度重視!
試作品は多くの場合、試験や検証などが目的で、販売を目的としていません。なので数個などの小ロットで良いのでわざわざ金型を作るのは非効率。
その代わり高い自由度と精度を求めることができます。つまり、少量生産の工芸品やコンセプトモデルなどにも向くわけなんです。
編集さん
編集S

金型を作らないとなると、どうやって形を作るんですか?

主に切削ですね。削り出してるんです。

編集さん
編集S

削り出す?

データをもとに、金属のカタマリをちょっとずつ、ちょっとずつ削っていくんです。ひとつのパーツを削り出すのに、2,3日かかることもあるそうです。地道!

切削の様子
黄色の液体は摩擦抑制と冷却のための切削油
編集さん
編集S

想像以上に時間がかかる!

松浦製作所さんが請け負うのは数センチの小さいパーツばかりですが、機材はそれなりに大きいです。

マシニングセンタ全貌
マシニングセンタ
編集さん
編集S

小さいパーツを削るなら小さい機材でいいと思ったら大間違いですね!(汗)

そうですね!こちら別のマシンです。そして社長の松浦さんもチラリ。サイズ感伝わりますでしょうか?
松浦社長
これもマシニングセンタ
編集さん
編集S

お〜、結構いろんな種類のマシンがあるんですね。

今まで写真で紹介したマシンは、「マシニングセンタ」と呼ばれ、削る刃物が回転しながら動いて削っていましたが、これは逆で、刃物は固定されて、削られるものが回転するパターンです。俗にいう「旋盤」です。筒のような円筒状のパーツを作る際にはコッチが向いてますね。
旋盤
NC(Numerical Control)旋盤
編集さん
編集S

作りたいパーツの形状によって、マシンを使い分けるということですね!

他にもたくさん機材がありましたからね。適材適所というワケです。
僕が作りたい万年筆のパーツで言えば、ペン芯やニブは「マシニングセンタ」で、ボディを作るなら「旋盤」になるのかなぁ?
編集さん
編集S

お、実際にもう作る話にまでなってるんですか?

最重要パーツであるペン芯は是非チャレンジしてみたいなと。
ペン芯
インクフローの鍵となるペン芯
編集さん
編集S

あれ?ペン芯って、樹脂じゃないんですか?

それを金属で作ったら面白いと思うんですよ。金属の特徴をペン芯に反映させたり、デザイン性をもたせたりできたらな〜って。誰もやらないことに意味がありますからね!
ただ、誰もやらないのにはもちろんわけがあって、樹脂で作ることに合理性があるからなんですよ。金属には樹脂のような柔軟性がなかったり、インクとの親和性や耐食性、耐久性など考慮するべき点は山ほどあります。でもね、設計も含めて自分でコントロールできるなら地道に対処していけると信じています!量産品ではないから複雑な設計でも問題ないですしね!
編集さん
編集S

誰もやらないことに意味があるか〜。スゲイノウ人らしいですね!

手間がかかりすぎるので、メーカーにはできないんですよね。そこを攻めることができるのは個人ならではかな。
編集さん
編集S

素敵な計画ですね〜!一体どんなペン芯が出来上がるのか、とても気になりますが、本業もお忙しいことと思います。何か進展がありましたら、またお話聞かせてくださいね。

もちろんです。松浦製作所さん、今回はご協力ありがとうございました。今後もよろしくお願いします!
編集さん
編集S

楽しみな展開になってきました。それではまた次回もよろしくお願いします!


どれだけ磨くの!? カスタムヘリテイジ92製作記はこちら


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「万年筆が好きすぎるシステムエンジニア」森 慎吾さんのプロフィール

1981年生まれ。高校卒業→印刷会社→専門学校(音響芸術科)→テレビ局で編集マン→SE→フリーランスのSE→スゲイノウ人(イマココ!)。とにかくずっと激務に追われる日々からフリーランスへ転身し、忙しいながら趣味にあてられる時間も増え、万年筆カスタマイズに没頭の日々。

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