【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア】第2回 万年筆カスタマイズの世界

【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア】である森さんへのインタビュー第2回。
システムエンジニアを生業としている森さんですが、実は無類の万年筆カスタマイザー。
趣味なのにそこまでやる!?と周囲に呆れられる。
これぞ、スゲイノウ人の鑑であります!
さあ、万年筆の奥深きカスタマイズワールドを森さんにナビゲートしていただきましょう。
編集さん
編集S
前回森さんのお話をうかがって以来、人が使っているペンが気になり始めた、マネージャー兼編集のSです!
万年筆仕上げ人の森です。
編集さん
編集S
あ、なんか新しい肩書きになりましたね!
いろいろ考えたんですけど「仕上げ人」というのが一番しっくりくるかなと思いまして。
編集さん
編集S
いいですね、必殺仕置人みたいで。
それは褒めてるんでしょうか…
編集さん
編集S
さてさて、前回は「万年筆」を「最高に美しい万年筆」にしたい!という、熱い想いをうかがいました。そして、カスタマイズする部分として「ニブ」というパーツが話題に出てきましたが、ニブについてもう少し教えてもらえますか?
わかりました!
編集さん
編集S
ニブというのは、万年筆のこのペン先のパーツのことでしたよね?
ニブ
そうです。万年筆の顔と言っても過言ではない、重要なパーツです。
編集さん
編集S
うーん、もし私が何も知らずに万年筆を選ぶとしたら、本体のデザインばかりに目がいって、ニブのことなんて考えないと思います。
まあボディのデザインで選ぶ方もたくさんいらっしゃいます。どれが正解っていうのはありませんしね。
編集さん
編集S
顔というくらいだから、ニブにもデザインや素材がたくさんあるということですよね?
その通りです。素材には金・ステンレス合金などの違いがあります。ステンレスと一口に言ってもメーカーによって様々ですし、企業秘密でもあるので細かく公表はされていません。ざっくり金とそれ以外の金属、ですね。
編集さん
編集S
金だとやっぱりお高いですよね?
金のニブを使ったものは「金ペン」なんて呼ばれて、それなりに値段も張ります。値段が張るぶん、耐久性にも優れているので、単にアクセサリー的な感覚ではなく、実用品として「金」が選ばれているんです。
編集さん
編集S
金を使うのには、ちゃんとした理由があるんですね。
まあ特殊なところで言えば、パラジウム合金を使ったものもあるんです。欲しいんですよね、パラジウム合金の…
編集さん
編集S
パラジウム??初めて聞きました。さすがニッチなところを突いてきますね。
クリップやリングなどへのメッキとして使われる素材ですが、ニブの主材料に使われている珍しい商品もあるんです。どんな書き味なのか、一度使ってみたいんですよね〜。
編集さん
編集S
金属の素材によって書き味も変わってくるんですね!
やっぱり金は柔らかいですよ。弾力があるんです。ほら、金って一般的にも柔らかいイメージ、あるでしょう?
編集さん
編集S
確かに…金属の中では柔らかそうですが…
柔らかいだけに日々使っていると表面に細かな傷もつくんです。まあ新品でも意外と細かな傷がついてるんですけどね。もうそういうのが許せない…せっかく万年筆の顔なのに「美しくない!」って思っちゃうんです。
編集さん
編集S
あ、前回もおっしゃってたところですね。ルーペで見るとすごい気になっちゃうという…
だって見てください。右が新品のニブ。左が、僕が磨き上げ、メッキを施したものです。

ニブの比較

編集さん
編集S
おおおおお!比べると一目瞭然ですね!
ここまで磨くのに、だいたい3〜4時間かかります。メッキまで入れるともっとです。
編集さん
編集S
なんと!そんなにかかるんですね!!!
リューターを使ってミクロの単位で磨いていくことになります。
編集さん
編集S
リューター?
これです、これ。

リューター

編集さん
編集S
おう、何かプロっぽい道具きたー!
先端のパーツを付け替えることで、削る・磨くなど様々な用途に使えますよ。
編集さん
編集S
この先端パーツ、万年筆仕上げにはいくつ使いますか?
いつも全部使うわけではありませんが、だいたい30個くらいですね。
編集さん
編集S
結構使いますね!
まずは「シリコンビット」と呼ばれるシリコンのゴムを使って段階的に表面を整えていきます。不要なロジウムを取ったり、小さな傷を飛ばすんです。
編集さん
編集S
ゴムと聞くと、若干ソフトな感じがしますね
ある程度綺麗になったら、ヘラがけです。細い棒を押し当てて金属の密度を上げて、細かい傷を埋めます。
編集さん
編集S
密度をあげる?
以前某Youtuberがアルミホイルの玉を、ピカピカの玉にしていたのを見ましたか?あれを想像してください!
編集さん
編集S
あ、見ました!ひたすらハンマーで叩いてましたよ。
そうそう。鍛冶職人が素材をカンカン叩いているのも同じことです。金属の密度を上げるんです。鍛造ですね。金属の密度が上がることによって、硬くなり、傷がつきにくくなりますから。
編集さん
編集S
なるほど、わかりやすいです!
まだまだ続きがあるんですよ。研磨剤をつけてバフ研磨して…などね。
編集さん
編集S
道のりはまだまだ長そうですね…。
とはいえ、これまだ「磨き」だけの話ですからね。
編集さん
編集S
と、言いますと?
「磨き」はあくまでベース作りにすぎません。ベースをしっかり整えた上から、メッキでコーティングしたり、ショットピーニングを施したりするんですよ。
編集さん
編集S
ベース作り、大事ですよね。お肌もベースメイクが一番大事だと思います!
そういうことです!
編集さん
編集S
ショットピーニング??と言う聞きなれない言葉がまたもや登場していましたけど…。
ショットピーニングとは、ごく小さいガラスビーズを吹き付けて金属の表面を硬化させたり、梨地のような表面加工をすることです。
編集さん
編集S
叩いて強くする!ですね。

梨地

そうそう。それに、この梨地の質感も結構オシャレなんですよ。ピカピカもいいけど、このマットな雰囲気もまたいい。
編集さん
編集S
確かに。なんかゴージャス感出ますね。
この小さなニブの中を、メッキで塗り分けしたり、ピカピカ部分とマットな梨地の部分を融合させることで、既製品のニブにオリジナリティを加えることができるんです。
編集さん
編集S
こういうのはメーカーから発売されていないんですか?
バイカラーのニブは割とポピュラーですね。でも部分的に梨地というのは、あまり見かけません。大量生産が難しんでしょうね。これぞまさに仕上人の醍醐味ですよ。
編集さん
編集S
ないならば、作ればいいじゃない!ってことですね。
まあここまでたどり着くのに、かなりかかりましたけどね。
編集さん
編集S
時間とか?
ええ、時間とか。あと、お金とか。
編集さん
編集S
ああ、そうだと思いました…
機材を揃えるのも、本当に大変でした。なんせ、同じようなことをしてる人がいないので、ネットで検索!とかできないんですよね。
編集さん
編集S
今やネットで出てこない情報って、結構貴重ですよね。
職人が利用するような専門店に何度も足を運んで、相談に乗ってもらいました。
編集さん
編集S
あ、そのへんのお話、次回ぜひお聞きしたいです!
もちろんいいですよ。行く予定があるので一緒にいきましょう。
編集さん
編集S
今回はニブを磨き上げる工程の話を中心にお話うかがいました。次回はスゲイノウ人の森さんが足繁く通うお店に同行してみたいと思います!
万年筆仕上げ人特製万年筆も発売予定です。
編集さん
編集S
どちらもよろしくお願いします!

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「万年筆が好きすぎるシステムエンジニア」森 慎吾さんのプロフィール

1981年生まれ。高校卒業→印刷会社→専門学校(音響芸術科)→テレビ局で編集マン→SE→フリーランスのSE→スゲイノウ人(イマココ!)。とにかくずっと激務に追われる日々からフリーランスへ転身し、忙しいながら趣味にあてられる時間も増え、万年筆カスタマイズに没頭の日々。

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