第36回 モンブランのペン芯を金属で作ったらどうなるか妄想する

念願のマイスターシュテュック149のペン芯が破損するという事件に見舞われたスゲイノウ人の森さん。
そんな逆境にもめげず、ペン芯の再現に没頭します。そして、一般的にはありえないとされている金属でペン芯を作ったらどうだろう?そんな妄想に話は及びます…。
スゲイノウ人の森って誰それ!?という方はこちらからご覧ください↓
【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア 】第1回  SEと万年筆との出会い
森さん仕上げのカスタムヘイテイジ92はこちらです。
編集さん
編集S

こんにちは〜。編集のSです。

「万年筆仕掛け人」の森です。
編集さん
編集S

いや〜、寒いですね!関東地方でも雪が降っているところもあるそうで。どうりで寒いわけです。

雪…雪といえば、滑る、滑ると言えば、手が滑る…手が滑ってペン芯に真鍮の棒が直撃!!!!!!
編集さん
編集S

森さん!大丈夫ですか?!「マイスターシュテュック149」のペン芯が割れた心の傷は一週間経っても癒えませんよね…。

ペン芯の傷と、心の傷は完全に癒えることはないですが、モンブランのペン芯を再現することに注力していたら、少し前向きになれました。
編集さん
編集S

再現というと、CADソフトを使って、そっくりなペン芯を設計することですよね?

そうです。すぐ作れるかな〜と踏んでいましたが、思った以上に大変でした。

編集さん
編集S

うわ、すごい!こんなに細かい櫛の部分の溝をどうやって正確に測るんですか??

スケールルーペを使います。ほら、ルーペを覗くと目盛りが見えるでしょう?
編集さん
編集S

おお!見える!こんな道具があるんですね〜。

スケールルーペ

ちなみに、溝の奥行きを測るときは、紙を差し込んで印をつけて測りました。

編集さん
編集S

思った以上に地道でアナログな作業なんですね。もっと、こう、デジタルな方法があるのかと思っちゃいました。
さて、ペン芯の設計ができたら、いよいよ先週話題にのぼった「エボナイト」で復活させちゃいますか?

Sさんはせっかちですね…。道のりはまだまだ遠いですよ。
このデータを元に3Dプリンタでテスト出力して、ハマり具合などをチェック。寸法がOKだったら、本番の素材での削り出しです。ちなみにSさん、素材にエボナイトは使いませんよ。

編集さん
編集S

え、エボナイト使わないんですか?ボーリングの玉のような柄で作ったらカワイイと思ったんですが。

今回のペン芯設計は、マイスターシュテュック149の互換品を作ることが目的ではなく、僕の理想とする100年万年筆を作るための試金石に過ぎません。互換品を作るだけならエボナイトで十分ですが、100年万年筆に照準を合わせると、エボナイトでは耐久性に不安があります。

編集さん
編集S

森さんの目標は100年使うことを想定した万年筆ですものね。だとすると、どんな素材でペン芯を作るのがいいのでしょう?

最適な金属が正直わからないのですが「インコネル」もしくは「ハステロイ」「チタン」あたりですかね。

編集さん
編集S

え、え、インコ?

インコネルですよ。知りません?

編集さん
編集S

森さんと話していると未知のワードばかりが登場しますね。

インコネルは素材の名前ではなく、商品名になります。ニッケルをベースとした超合金です。

編集さん
編集S

「超合金」の響きがすでに強そう。

高い耐熱性・耐食性・硬度などの特性のどれか、あるいは複数を持っている合金のことを「超合金」と呼びます。インコネルは耐熱性のほかに、耐蝕性・耐酸化性・耐クリープ性(クリープは一定の荷重を継続的にかけると変形すること)に優れているんですよ。なので、スペースシャトルや産業用タービン、航空機のジェットエンジン、身近なところでは、高級車のマフラーなんかに使われているようです。

編集さん
編集S

難しいことはよくわかりませんが、熱に強くて、酸化しにくくて、変形しにくい素材なんですね?ちなみにその「インコネル」を使った文具ってあるんでしょうか?

僕が知る限りでは、ないですね。チタンでもいいかな〜と思いましたが、チタンを使っている万年筆はすでにありますから、面白くない。やっぱりインコネルだと思いました。

編集さん
編集S

いまだかつてないインコネルの使用例になりますね!では逆にインコネルをペン芯に使うデメリットはありますか?

そうですね、まずはコスト(笑)あとは、重いこと。そして難削材であること。

編集さん
編集S

ナンサクザイ?

「難削材」。削りにくい素材という意味ですね。

編集さん
編集S

となると、加工ができる工場も少ないのでしょうか?

一般的には知られていないインコネルですが、町工場によっては、比較的珍しくない素材です。インコネルを「削れない」とは言わないでしょうが、内心「ちょっとヤダな〜」と思うかも。

編集さん
編集S

削りにくいうえに、重くて、お高い…。なるほど、大手メーカーが使わないわけですね。

さらに撥水性などの課題もあります。インクをはじいてしまうようでは、ペン芯としては失格ですからね。これはやってみないとなんとも言えません。いざとなったら、表面の加工などでなんとかなるかなぁ。

編集さん
編集S

うーーーーーーん、インコネルやばいですね!

Sさん、語彙が!

編集さん
編集S

すみません、なんとも形容しがたくて。

僕もいろんな意味でやばいです!開発費がいくらあっても足りない!

編集さん
編集S

クラウドファンディングなどで資金を集めてみてはどうでしょう?返礼品としてモンブランの互換ペン芯がもらえるとか。

あまりにニッチすぎる!いや、一部の人は欲しがるかもしれませんが…。

編集さん
編集S

ダメ元でやってみたらいいじゃないですか。

相変わらず Sさんはノリだけで簡単に言ってくれますよね。そうラクラクとお金が集まったら苦労しませんよ〜。

編集さん
編集S

「ペン芯はいらないけど応援したい!」そんな人のためのプランも考えましたよ。お礼のペン芯Tシャツです!

……これ誰が着るんですか?FOUNTAIN PENって、まんまだし(苦笑)

編集さん
編集S

もちろん森さんが!

お後がよろしいようで…。
今週もマニアックな話題に最後までお付き合いありがとうございました!もしよかったらSNSで「いいね」や「シェア」お願いします!

編集さん
編集S

同時に、森さんのような、ちょっとヘンな人の募集しています。自薦他薦は問いません。

では、また来週!

編集さん
編集S

さようなら〜!


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「万年筆が好きすぎるシステムエンジニア」森 慎吾さんのプロフィール

1981年生まれ。高校卒業→印刷会社→専門学校(音響芸術科)→テレビ局で編集マン→SE→フリーランスのSE→スゲイノウ人(イマココ!)。とにかくずっと激務に追われる日々からフリーランスへ転身し、忙しいながら趣味にあてられる時間も増え、万年筆カスタマイズに没頭の日々。

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