第62回 万年筆の仕上げも、ナイフの仕上げも、同じ思いを形にする作業である

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美容院で「おまかせ」と注文したことがあるだろうか。
プロは自分の技術と依頼人の条件を(美容院だと頭の形や髪質など)最大限に活かして髪型をしあげる。
美容師と共通の『センス』であることが前提条件だが、素人が下手に注文をつけるよりも、良い結果が得られることが多いのではないだろうか。
スゲイノウジンの元に舞い込む仕上げの注文もほとんど「おまかせ」だ。森氏のセンスに惚れ込んで頼む依頼人は、無意識のうちにそれが一番いいことを感じているのかもしれない。
スゲイノウ人森って誰?という方や、はじめてお越しの方はこちらもご覧ください↓
【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア 】第1回  SEと万年筆との出会い
森さん仕上げのカスタムヘイテイジ92はこちらです。
万年筆を1から作り上げようというMONDO計画はこちらです。
hosomichi
Hosomichi

皆さんこんにちは。『スゲイノウジン掘下げ人』のHosomichiが、今回も森氏のスゲイノウジンたる所以を紐解きたいと思います。それでは本日も艶やかなる深淵へ…。

皆さんこんにちは。ん?『スゲイノウジン掘下げ人』??またそんな安易な肩書を…しかも深淵って何を言い出してるんだ君は。

編集さん
Hosomichi

前回は森氏がいかに変態的であり、その変態性が人生を豊かにする。そして今回はその変態伏線の回収ですよ。心揺さぶる展開ですねぇ。

森さん

……。

編集さん
Hosomichi

冗談はここまでとして、何やらまた面白い事をしたみたいじゃないですか。万年筆仕上げの技術転用と言っても過言ではない。

カスタムナイフのレストア?

Sショック
Hosomichi

ええ。それです。ビフォーアフターを見たら驚愕の仕上がりでちょっとひきましたよ。うわぁ変態だ…って。森氏って本当に自分で何かをやりだしたらとことんやっちゃいますよね。僕はそこを掘り下げたい。そこに生きる意味の本質があると僕は本気で考えてます。今回はその『カスタムナイフのレストアの経緯』をお聞きしたい。ご依頼は『元・株式会社ワイキューブ代表の実業家、安田佳生さん」でしたよね??安田さんとの繋がりなども含めてご解説頂きたい!

何年か前に食事代を報酬としてビジネス系の相談ができる、一風変わった安田さん主催の企画『こだわり相談ツアー』というのがありまして、当時IT系のフリーランスとしてちょっとした悩み事があり相談したのがその後、ご依頼を頂くきっかけになりました。

安田さん自身もFaber-Castellの伯爵コレクションという良い万年筆を愛用されていた事もあって、相談がまじめな本線よりも私が趣味でやっていた万年筆の仕上げ直しで話が盛り上がりました。カスタムナイフも安田さんのご趣味で、過去にも傷んでしまったナイフの仕上げ直しの依頼を頂いていたりしてます。

hosomichi
Hosomichi

安田さんの著書は森氏に勧められて僕も読みました。『自分を磨く生き方』は大変参考になる内容でした。今思えばあの一冊は僕の生き方を変えるきっかけになってますね。その時にも思ったのですが、森氏を含めた『スゲイノウジン的な人』って人との繋がりの振れ幅が大きいですよね。類は友を呼ぶとはまさにコレ…スキルや人柄、人生観で繋がりが生まれる。そしてそれらが掛け合わさると素敵な化学反応が生まれる。スゲイノウジンって素敵生産システムですねぇ。今回の安田さんの希望する『素敵』はいったいどんな内容だったんですか??

過去の依頼で安田さんが所有されているちょっと傷んでしまったカスタムナイフの仕上げ直し&自社ロゴの刻印という依頼がありました。その仕上がりを気に入って頂けたようで、今回も同様にちょっと傷んでしまったカスタムナイフにこれから始める新規事業のロゴ&仕上げ直しをしてほしいというのがご希望でした。

取り扱うナイフは作家さんがハンドメイドで作成したカスタムナイフです。好きな方はご存知かと思いますがファクトリーメイドと異なり高価でコレクション性が高い物です。

hosomichi
Hosomichi

カスタムナイフって聞くと、自分でカスタマイズしたナイフ?かと思いましたが、所謂オーダーメイドってやつですね。僕だったら触るのが怖い…でも一点ものってことはレストアしたくなるのは分かります。そしてそれをオーダーされる森氏って…作業内容が知りたい!

通常は砥石をなどを使ってゴリゴリ錆を撮りつつ研ぎ直すのがセオリーですがそれだと重ね(歯の厚み)に影響してしまうので、砥石は使わない方法で錆の除去と外観の回復を狙いました。酷使前提の実用ナイフではなくコレクションナイフですからね!美術品の修復みたいな扱いです(笑)

Sショック
Hosomichi

美術品の修復って、失敗すると悲惨な事になるやつですやん!聖ジョージの彫像がやたらとほんわかした修復になっちゃったやつとかありましたよね…本気で触るのが怖いレベルじゃないですか。実際に何をしたのかもう少し詳しくお願いします。とりあえず、こちらが何もしていない状態ですね。

ビフォー

まずは…①刃に粉末状の砥粒と布を使って全体の曇りの除去(深い点錆を浮き彫りにする)。

②点錆にスポイトでポツポツとチオグリコール酸アンモニウムと金属イオン封鎖剤を主剤とした秘伝のタレをたらして錆をできるだけ分解し、その後カーボランダムの粉と一緒にシコシコする事で刃物を無駄に削らずに錆の除去。

依頼ナイフ2

③意図的に方向が整った薄い筋状の磨き痕をいれて浸食痕を目立たなくする。

依頼ナイフ2

④パーカー処理を行って防錆効果を持たせると同時に外観を黒くする(ロゴを入れた時に映える)。

依頼ナイフ3

⑤ファイバーレーザーを使ってロゴを彫刻する。

依頼ナイフ4

Sショック
Hosomichi

いやいやいや!ちょっと待って下さい。森氏ってカスタムナイフレストア職人でしたっけ??(笑)ホントにすげぇな…これなら安田さんもお喜び頂けた事でしょう。何でこんな事が出来るんです?というより…森氏の愛が詰まってる気がします。

傷んだ刃物は研ぎ屋さんに依頼すれば砥石で綺麗にしてくれます。自社ロゴを入れたければノベルティなどを製作する会社さんで出来ます。パーカー処理をしたければ表面処理の会社さんで出来ます。

しかし、それだとこのナイフがどうすれば映えるか各作業者さんは考えてはくれません。

あくまで受動的に作業をこなすだけです。それぞれの業者さんが完成イメージまで考えて全工程を組んでくれるわけではないのです。増改築を繰り返したチグハグな建物みたいになる可能性もあります(笑)

一方で私の場合、物を見てレストアする上で採れる手法は何か?最終的な完成イメージはどういった感じなのか?これらを全て自分で計画、実施するという努力出来る余地があります。この一気通貫でやれる事が破綻せずに調和させられているんだと思います。私にとってはもはや作品(笑)

そして全工程をやった作業者としてオーナーと話ができるわけですが、オーナー側の抱く愛着、作業者側が抱く愛着があります。言葉にし辛いですが一つの物を通して味わえるこの感覚は双方にとって特別な気がします。

編集さん
Hosomichi

スゲイノウジンとは、スキルが素敵なのはもちろん、理念が素敵な存在なんですね。森氏はスキルを突き詰めるのではなく、思いを突き詰めた結果にスキルが必要であった。つまり、思いが先にあった。思いが森氏を動かしている…何か現代人が抱える悩みの本質を突いているようで、はっとさせられます。思いがあるから安田さんも森氏に依頼したんでしょうね。

ありがたい話しです。

編集さん
Hosomichi

愛は滅びぬ…。

え?何言ってんの?(笑)

hosomichi
Hosomichi

僕はこういった人の思いが生み出すスゲイノウジンワールドを掘りおこす事が最近楽しくて仕方がないんです。次回もプライベートを掘りおこされるご覚悟を…

でた、いきなりのシメの展開!そして次回予告(笑)

hosomichi
Hosomichi

次回はより精神的な内容にしていきたいと思います。人の思いが世界を作る。愛は滅びぬ!

だから何言ってんのよ(笑)それではまた次回にお会いしましょう。

編集さん
Hosomichi

まだまだ楽しみにしていて下さいね!僕はこの記事をスキルではなく思いにフォーカスした内容にする事が重要だと思っていますので。

覚悟だけは軽くしておきましょう。

編集さん
Hosomichi

それでは皆さままた次回にお会い致しましょう!

さようなら~


どれだけ磨くの!? カスタムヘリテイジ92製作記はこちら


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「万年筆が好きすぎるシステムエンジニア」森 慎吾さんのプロフィール

1981年生まれ。高校卒業→印刷会社→専門学校(音響芸術科)→テレビ局で編集マン→SE→フリーランスのSE→スゲイノウ人(イマココ!)。とにかくずっと激務に追われる日々からフリーランスへ転身し、忙しいながら趣味にあてられる時間も増え、万年筆カスタマイズに没頭の日々。

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