【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア】である森さんとの対談、第8回。
前回の【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア】第7回 スゲイノウ人の野望では、「オリジナルのニブを作りたい!」という
大きな夢を語っていただきましたが、少し語り足りない部分があったようなので、今回も引き続き
森さんが作ってみたいニブについて、さらにニッチな部分のお話を伺ってみました!
「スゲイノウ人・森さんってどんな人?」という方はこちらの記事からどうぞ
【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア 】第1回 SEと万年筆との出会い
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森
冬生まれなので、冬が好き!なスゲイノウ人・森です。
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なんだか急に猛烈に暑くなりましたね!今は少し落ち着いてますが。
森
もうね、夏になると僕の生産性がガクンと下がっちゃうので、カンベンして欲しいですよ。あと春も花粉症なので頭が働きません。秋も微妙に暑いし、やっぱ冬最高ですね。
編集S
森
まあそういうことですね(苦笑)さてさて、そんな話は置いておいて、前回の話で少し補足というか、さらに語りたい部分があるので、聞いてください!
編集S
森
Sさんは「木目金(もくめがね)」ってわかりますか?
編集S
森
いえいえ、木目金(杢目金とも書く)は「木目調」の金属ということですよ。木の年輪のような模様のついた金属のアクセサリーなど、見かけたことないですか?
そうそう、これが木目調
編集S
ああ、結婚指輪のデザインでみたことあります!最近は結構流行ってるようにも感じます。
森
うーん、流行ってるかどうかはわかりませんが、木目金の手法自体は江戸時代から伝わる日本の伝統的な技術です。
編集S
いいですね、メイドインジャパン!やはり、本物の木目と同じように、幾層にも金属を重ねていくんでしょうか?
森
そうですね。おっしゃる通り、種類の違う地金を交互に重ねて圧縮します。その塊を刀鍛冶職人のように熱してトンテンカン、高温で柔らかくなったところでひねったり、ねじったりして、トンテンカン…。地道な作業ですね!
編集S
森
すごく簡単にいうとそういうことになります。(苦笑)
編集S
ねじる作業のところで重ねた層がマーブル模様のようになりますよね!
森
そうです。そのひねったり、ねじったりの具合で、その都度模様の出方が変わるところが魅力のひとつでもあります。同じ模様には二度と出会えない。一期一会ですね。
編集S
森さんが「木目金」に惹かれる所以は、そういう理由なんですね?
森
そうですね。まあ、僕はもともと刃物や和式ナイフが好きなんですよ。
編集S
え、刃物?和式ナイフ?木目金との関係性が見えてきませんが…。
森
和式ナイフには多層鋼とよばれる刀身があるんですよ。
編集S
森
そういうことです!刃物が好きだから木目金が好きなのか、木目金が好きだから刃物が好きなのか、それはよくわからないですけどね。とにかく、独特な模様が美しいと感じるんです。
俗にダマスカス鋼(積層鋼材)と呼ばれる刃物
編集S
森
怪しい者ではないですよ!
編集S
森
(コホン)実は刃物と万年筆には大きな共通点もあるんです!
編集S
森
研ぎ直す事で書き味が大きく変わる!(刃物なら切れ味が変わる)というところです。
編集S
ちょっと待ってください。刃物は研ぎますけど、万年筆って研ぐものなんですか?
森
普通のユーザーは研がないと思います。でもコアなユーザーは研ぎます!
編集S
研ぐことで書き味がよくなったりするということですね?
森
そうですね。と言うか、そもそも同じペンポイントでも、最後に研ぎ方を変えることによって「中字」や「太字」などの文字の太さが変わるんですよ。
編集S
森
たくさん使っていくうちに自然と磨耗しているので、普段から研いでいるとも言えます。(笑)
編集S
そうなんですね。磨くの大好きな森さんだから、やっぱり研ぐのも好きと言う訳でしたか!
森
包丁の砥石もいっぱい持ってますよ。あまり研いでませんが!
編集S
森
うちには萌える包丁がないので。。。安い文化包丁しかない(涙)
編集S
森さんが研げば、安い包丁でもメッチャ切れるようになりそうです。ああ、なんだか話がそれてしまいましたね。ええと、木目金ですよ。
森
そうそう、木目金。組み合わせる金属によってシックにも華やかにもできるので、作るのが楽しそうです!とはいえ、試作段階では貴金属の代わりに真鍮や銅、アルミといった安価な金属で杢目金を製作し、本番にはホワイトゴールドやピンクゴールド、プラチナ、などを使った、杢目金を使用するつもりです。
編集S
森
うーん、トンテンカンしたいのは山々なんですが、さすがにマンションですし、いろいろ問題あるなあと思いまして、専門の業者の方に薄い地金にしていただき、そこからニブの形にしていこうと考えています。
編集S
前回の「万年筆ができるまで動画」では、金型で打ち抜いていましたが。
森
大量生産する場合は金型が有効なんですが、僕みたいに小ロットで作りたい場合には不向きです。なので、CNCフライスを使っての製作がいいかと思っています。
編集S
森
簡単に言えば、切削機ですね。”Computerized Numerical Control “でCNCです。コンピューターで制御して切削します。フライスは工具の種類のことです。イメージ写真、こんな感じです。

編集S
森
最近では、個人でも使える小型のCNCフライスも販売されているので、ニブのような小さなパーツであれば切り出すことができそうです。
編集S
そうなんですね。切り出したあとは、前回のイリドスミン球を溶着させる作業などに続く訳ですね。
森
イリドスミン球をよく覚えてましたね!
編集S
なんか印象的な名前でしたから(笑)いやあ、前回に引き続き、たっぷり森さんの野望を語っていただけました。まだ語り足りないでしょうか?
森
語ろうと思えばドンドン語れちゃいますけど…一旦大丈夫です!
編集S
では、スゲイノウ人の野望編はこのへんで終わりたいと思います!お付き合いありがとうございました。
森
また来週お会いしましょう!
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「万年筆が好きすぎるシステムエンジニア」森 慎吾さんのプロフィール
1981年生まれ。高校卒業→印刷会社→専門学校(音響芸術科)→テレビ局で編集マン→SE→フリーランスのSE→スゲイノウ人(イマココ!)。とにかくずっと激務に追われる日々からフリーランスへ転身し、忙しいながら趣味にあてられる時間も増え、万年筆カスタマイズに没頭の日々。