【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア】である森さんとの対談、第9回。
前回の第8回 スゲイノウ人を魅了する木目金【万年筆が好きすぎるエンジニア】では、森さんの「木目金」への愛着について語っていただきました。
金属をトンテンカンする話まで出てきて、森さんはこのままでは鍛冶職人になってしまうかもしれません。
そんな変態的なこだわりを持つ森さんを、もっと詳しく知りたい!という方はこちらの記事からどうぞ
【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア 】第1回 SEと万年筆との出会い
編集S
森
「万年筆仕上げ人」の森です。
編集S
スタンダードな挨拶から始まりました、対談9回目です。
森
いやあ、「万年筆仕上げ人」って言いたかったんですよ〜。実はこんな名刺を新しく作ったんです。

編集S
森
結構インパクトありません?「万年筆仕上げ人」と言う肩書きからして、とりあえずツッコみたくなるかなと。
編集S
そんな肩書きの人、日本にほとんどいないのではないでしょうか?
森
ホリエモンの本で読んだんですよね。肩書きを3つ持ってると、100万人に1人の人材になれるって。あるひとつの肩書きが100人に1人だとすると、3つの肩書きがあれば1/100×1/100×1/100=1/1,000,000と言うことなんでしょうね。
編集S
「万年筆仕上げ人」だけでもかなり希少価値のある人材だと思いますので、100万人に1人よりもレアですよね。
森
超レアキャラ!
編集S
超レアキャラ(笑)ポケモンみたいになってきましたね。さてさて、そんな超レアキャラの森さん、今日は「万年筆ってオワコンですか?」ってお題なんですよ。
森
なんか急に悲しい感じになってきましたね。オワコンって。。
編集S
だって、こんなにPCやスマホが発達したし、便利な文房具もワンサカある時代ですよ。あえて万年筆を買う人の人口って、ぶっちゃけすごく減ってるんじゃないですか?
森
そうですね。おっしゃる通り、一時期は減っていたかもしれません。入学などのお祝いに万年筆を贈る、なんていう文化もだいぶ廃れてきたように感じます。ただ、意外なことに、万年筆の市場は昨今伸びているんですよ!
編集S
森
矢野経済研究所の調べによると、『万年筆の国内出荷額は2016年度に46億5000万円で、13年度比で23.3%増えた。』そうなんです。結構伸びてますよね。
編集S
意外です!だって、自分の周りで万年筆使ってる人、ほとんど見かけませんよ。実感わかないな〜。
森
確かに、僕の周りでも見かけません。僕が万年筆の話題を熱く語っても「ふーん」くらいの反応ですよ。
編集S
それでも伸びているということは、なぜなんでしょう?
森
どうやら、『インスタ映え』などのSNSとの関係が深いようです。
編集S
ああー、ちょうどインスタなどのSNSが一般的に浸透してきた頃ですね。
森
細かいこというと、インスタ映えするのは、万年筆より『インク』の方かもしれませんね。先日も、テレビで『インク沼』にハマった人の番組やってましたから。
編集S
インクは確かにインスタ映えしそうですね。瓶も可愛いし、とにかくカラフルだし。
森
そうそう。インクが綺麗→使ってみたい→万年筆を買う、の流れでしょうね。SNSを使う若い人の需要が増えたので、各社比較的手の出しやすい廉価版の万年筆のラインナップが豊富になってきています。例えばPILOTのKAKUNOです。こちらは子供用に作られた万年筆で、ニブの顔マークが特徴的です。

編集S
森
こちら定価は1,000円と、かなりリーズナブルな価格設定なので、当初は子供向けでしたが、若者や大人もこぞって買ってるんです。
編集S
森
もうちょっと大人っぽく、おしゃれに、という人にはLAMYのサファリが人気です。

編集S
LAMY、聞いたことあります。これは透明でおしゃれですね!
森
この写真はスケルトンタイプですが、軸のカラーバリエーションはたくさんあって、集めたりするとこれがまたインスタ映えしちゃう代物です。こちらも実売3,000円〜と、若者も買いやすいですね。
編集S
なるほど〜、万年筆って高いイメージでしたが、結構ピンキリなんですね。
森
そうですよ。高いものをみたら、これまたキリがない。
編集S
SNSが好きな若年層が万年筆を買うようになったというのは納得できました。でも高価な万年筆は若者が買えないから、あまり売れてないとか?
森
それがそうでもないんですよね。すごく高い万年筆はステータスとして一定の需要がありますし、そこそこ高い万年筆も売れてます。例えば、ペリカンのスーベレーンなんかすごく人気。スーベレーンはサイズによって価格が異なるのですが、安いもので約3万。一番大きいサイズは6万円以上しますからね。安くない。でも売れるんです。

編集S
スーベレーンを買うような人は、どんな層なんでしょう?
森
まあ、高いと言っても何百万もするわけじゃないので、廉価帯の万年筆を卒業して、ちょっと本格的なものが一本欲しくなった人が買うパターンが予想できます。
編集S
まあそうですよね。ちょっと自分へのご褒美で3万円くらいなら使えるかな。
森
でもね、やっぱり3万円あっても普通は万年筆買わないですからね。一泊二日で旅行にでも行った方がいいと思う人の方が多数派かと。
編集S
では、そもそも万年筆を使う人のマインドって、どんなですかね?
森
僕的には「感性を大事にする人」が使う筆記具だと思います。微妙な線の強弱、インクの濃淡や滲み、ちょっと面倒なメンテナンスを楽しめるような人ですね。
編集S
記録できればなんでもいい、ではなく、書くこと自体を楽しんでるってことですね。
森
そうそう。今、ちょっと「焚き火」が流行ってるじゃないですか。キャンプに行って、ただ焚き火をするとか、万年筆以上にアナログで、無駄の多い作業です。だって、ただ暖まったり、調理をするだけなら、いくらでも簡単なツールがありますからね。
編集S
森
でも、みんなキャンプが好きなんです。焚き火したいんです。
編集S
森
炎の「揺らぎ」がいいんでしょうね。万年筆もある意味「揺らぎ」のある筆記具じゃないでしょうか。均一でない線や色の濃淡が。
編集S
揺らぎのないツールが拡がる一方で、揺らぎのある世界への回帰願望が生まれるのかもしれませんね。
森
揺らぎのあり、なしは場面によって使い分けが大事ですね。プレゼンの資料が万年筆を使った手書き資料だと(面白いかもしれないけど)困るし、大切な人への手紙がWordで打ってプリントアウトされたものだったら興ざめですから。
編集S
アナログとデジタルはこれからも共存していく。だから万年筆もオワコンではないですね!
森
そうですよー、当たり前じゃないですか。
編集S
いやいや、失礼しました。私も感性を磨くべく、万年筆デビューしてみようかな。
森
ぜひ!Jally’s Shopでも売ってますので(笑)
編集S
森
いやあ、冗談です。KAKUNOでもLAMYでも、万年筆デビューにはもってこいですよ。
編集S
今度お店に見に行ってみようかなあ。私も原稿のメモを万年筆で書いたら、何か仕事が捗るかもしれない!
本日も興味深いお話、ありがとうございました。
森
また来週お会いしましょう!
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「万年筆が好きすぎるシステムエンジニア」森 慎吾さんのプロフィール
1981年生まれ。高校卒業→印刷会社→専門学校(音響芸術科)→テレビ局で編集マン→SE→フリーランスのSE→スゲイノウ人(イマココ!)。とにかくずっと激務に追われる日々からフリーランスへ転身し、忙しいながら趣味にあてられる時間も増え、万年筆カスタマイズに没頭の日々。