~新品を超える究極の仕上げへの道~ vol.3
森慎吾さんの本業はシステムエンジニア。
趣味で万年筆を愛し、その愛は変態レベルにまで成長。
好きすぎて自ら万年筆のパーツをカスタマイズするスゲイノウ人です。

万年筆を、より美しい万年筆へ!
「究極の仕上げ」へのこだわりがたっぷり詰まった、森さんカスタム万年筆をJally’s Shopで販売するに当たって、その製作記をシリーズでお送りしています。
前回は仕上がりを左右する大事な下地作りをクローズアップして解説しました。
◇以前の記事はこちら◇ 「カスタムヘリテイジ92」製作記 vol.2 ベースメイク(下地)編 「カスタムヘリテイジ92」製作記 vol.1 こだわりのツール(道具)編
早いもので、シリーズも3回目。折り返し地点にきて、作業はいよいよ佳境に!
超音波洗浄
研磨工程でついたゴミやカス、大きな油分などを取り除くため、超音波洗浄機で洗浄を行う。
超音波洗浄機は、メガネ店の店頭などでよく見かけるお馴染みの機械。(こちらは業務用)
人肌の温度のお湯に、専用の洗浄液を入れスイッチオン!
長時間洗浄する必要はなく、ほんの数十秒で作業は完了。
よく妻がメガネやネックレスを洗ってます(笑)
僕が使っている道具類で、唯一(?)妻が活用しているものかもしれません。
※こちらはプロ仕様の強力な超音波洗浄機で、本来はメガネ用ではないので、決してマネしないでくださいね!(メガネが壊れる恐れがあります)
電解脱脂
メッキをする下準備として欠かせないのが、この電解脱脂。
(前回「電解研磨」の工程がでてきましたが、こちらは「電解脱脂」なので混同なきよう!)
アルカリ性の脱脂液に電極板を入れ、通電することによって反応がおこり、対象の余分な酸化被膜を除去してメッキの密着強度を高める。
もし、メッキの対象物に油分が残っていると、剥げやメッキのムラの原因になる。
メッキ
花山産業さん謹製のメッキ装置を使用。

製作して頂いたメッキ装置でテストを繰り返し、温度、出力、時間など、最も美しくなるパラメータで電解メッキを施す。
ちなみにこちらがメッキ液と、電解脱脂液。とてもカラフル。
妻はメッキ液をメタルスライムみたいなものだと思っていたようで、全然金属っぽくない色なのでびっくりしていました。その発想、こっちからしたら逆にびっくりでした。
確かにカラフルなので、ビタミンドリンクみたいですよね。
娘が飲まないように「これを飲んだら死ぬよ!」って脅してます。(実際死ぬよ…)
試行錯誤を重ね、最高の状態に仕上がったニブがこちら。


メッキも綺麗に仕上がり、完成?と思いきや、まだまだ作業は続きます。
ショットピーニングなどの装飾を行い、さらにオリジナリティを高めていきます。
最後には透明のボディ部分も、さらに透明に!
というわけで、次回はいよいよ製作記の最終回。デコレーションとボディメイク編です。
みなさま、最後までお付き合いください!
カスタムの模様を動画でも公開中!ぜひご覧ください。
森さんの万年筆への偏愛ぶりについては、スゲイノウ人インタビュー記事も合わせてご覧ください。 【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア】第1回 SEと万年筆との出会い 【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア】第2回 万年筆カスタマイズの世界 【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア】第3回 スゲイノウ人御用達!?のお店 【万年筆が好きすぎるシステムエンジニア】第4回 スゲイノウ人のルーツ
「万年筆が好きすぎるシステムエンジニア」森 慎吾さん
1981年生まれ。高校卒業→印刷会社→専門学校(音響芸術科)→テレビ局で編集マン→SE→フリーランスのSE→スゲイノウ人(イマココ!)。とにかくずっと激務に追われる日々からフリーランスへ転身し、忙しいながら趣味にあてられる時間も増え、万年筆カスタマイズに没頭の日々。