~新品を超える究極の仕上げへの道~ vol.4(最終回)
森慎吾さんの本業はシステムエンジニア。
趣味で万年筆を愛し、その愛は変態レベルにまで成長。
好きすぎて自ら万年筆のパーツをカスタマイズするスゲイノウ人です。
万年筆を、より美しい万年筆へ!
「究極の仕上げ」へのこだわりがたっぷり詰まった、森さんカスタム万年筆をJally’s Shopで販売するに当たって、その素晴らしさを伝えるべく、製作記をアップしてまいりました。
前回は全体的に地味な雰囲気の漂う万年筆仕上げ作業の中で、一番の盛り上がりを見せる「メッキ」の工程をご紹介しました。
◇以前の記事はこちら◇ 「カスタムヘリテイジ92」製作記 vol.3 メイクアップ(メッキ)編 「カスタムヘリテイジ92」製作記 vol.2 ベースメイク(下地)編 「カスタムヘリテイジ92」製作記 vol.1 こだわりのツール(道具)編
早いもので、シリーズもいよいよ最終回。
長い長い工程を経て、ついに究極仕上げの万年筆が誕生します!
ショットピーニングのためのマスキング作業
ショットピーニングとは、ごく小さいガラスビーズを吹き付けて金属の表面を硬化させたり、梨地のような表面加工をすることです。

ニブの全体にショットピーニングを施すのならば必要ありませんが、部分的に行う場合は、加工しない部分を隠しておく(マスキングする)ことが必須です。
マスキングは、マスキングテープを用いることもありますが、テープの場合は細かな作業に向かないので、ほとんどが筆でマスキング剤を塗る方法をとります。
ひと口に万年筆のニブと言っても、ニブのサイズには結構幅があります。
金ペンと呼ばれる、14Kや18Kなどの高価な素材でニブができている場合、ニブが大きい=値段が高いということになります。
大きいニブと言えば、高級万年筆の代名詞、マイシュターシュテック149!
このニブなら作業がラクそう!っていつも思います。
そんな理由はさておき、いつかは持ちたい一本ですね。(高くて躊躇)
カスタムヘリテイジは92のニブは比較的小さめなので塗分けには、繊細な作業が要求されます。
ピーニング処理

ショットピーニングを行う理由は3つあります。
- ガラスビーズが表面にぶつかる事で表層部の硬度があがるから。(梨地にするだけなら金剛砂を擦りつけるだけでもできるが、硬度があがらない)
- 再び使い込んだ時に(インクのふき取りなどで)傷が目立たないようになるから。
- デザイン的にいい感じになるから。(独特なつや消しがコントラストの効いたデザインになる)
以上のように、デザイン面でも、機能面でもメリットが多いのです。

ボディメイク(透明度UP)
いよいよ最終工程。
Custom Heritage92は透明のボディのため、細かな傷が目立ちやすいのが難点。
そこで、ボディの透明度をあげるべく、いつものように磨いていきます。
作業をする上で、まずはボディを分解するところから始めますが、分解作業もなかなか簡単にはいかないもので、専用の治具を自作したりしてなんとかバラしていきます。

分解できたら、ボディの研磨。
筒状のボディ内部を磨くには、リューターの先端工具として長いスティックを利用します。
スティックに柔らかいクロスを巻きつけて、ゆっくり磨いていきます。
ちょうどいい長い棒がなかったので、モデルガンの銃身を清掃するロッドを改造しました!

内部を磨き、コーティングを施し、最後にボディを組み上げていきます。
組み上げている時が、幸せな瞬間でもありますね。
今までの苦労が報われます。

4回に渡ってお送りいたしました、~新品を超える究極の仕上げへの道~。
いかがでしたでしょうか?
スゲイノウ人・森さんの変態的なまでのこだわりが少しでも伝われば幸いです。
「究極の仕上げ」へのこだわりがたっぷり詰まった、森さんカスタム万年筆はJally’s Shopで販売いたします!興味のある方は、ぜひショップへお立ち寄りください!
ちなみに今回、森さんには3本製作していただきました。ラインナップは下記の通り。
全て異なる処理や仕上げが施してあるので、通常モデルにはない所有欲を刺激される逸品です。
限定品ですので、売り切れの際はご容赦くださいませ!
カスタムの模様を動画でも公開中!ぜひご覧ください。
「万年筆が好きすぎるシステムエンジニア」森 慎吾さん
1981年生まれ。高校卒業→印刷会社→専門学校(音響芸術科)→テレビ局で編集マン→SE→フリーランスのSE→スゲイノウ人(イマココ!)。とにかくずっと激務に追われる日々からフリーランスへ転身し、忙しいながら趣味にあてられる時間も増え、万年筆カスタマイズに没頭の日々。